*ハンガリー旅行入門サイトからの移行記事です*

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ハンガリーでは約8万ヘクタール(2008)の地でワイン用ブドウが栽培されており、その量はフランスのボルドー地方だけで12万ヘクタールであることを考えると限られた量だとわかります。生産量は400万ヘクトリットルに満たず、国内消費がメインです。ハンガリーのワイン産地は22の地域に区分されています。以下、有名な地域の概略。

<トカイ>

この地域は世界遺産の一部でもあり、ハンガリーで最も東に位置し、一番有名なワインの産地です。気候は大陸性気候ながら独特な気候であるため、トカイワインに必須のボトリティス(貴腐)を生み出すことができます。また、この地域の土壌はゼオライトで、温度や水分の双方を蓄積できるため、ミネラル分豊富なワインの生産に適しています。

この地域は白ワイン、特に世界三大貴腐ワインの一つ『トカイ・アスー』が有名ですが、上質な辛口白ワインも生産されています。この地域のブドウはブドウの糖分を濃縮するため通常より遅めに収穫され、ワインは若い状態で提供されます。

また、ボトリティスを多く含むブドウは、1リットル当たり100g以上の糖分を含み、アルコール分の高さ14%ほどのサモロドニと呼ばれるワインとなります。辛口のサモロドニはアペリティフとして最高ですし、甘口のサモロドニはフォアグラとの相性が抜群です。

この地域で最も有名なアスーワインは、デザートワインで、その糖度・熟成度により区分されています。プットニュと呼ばれる桶1つには、あたりだいたい20-25kgの手摘みで収穫された貴腐ブドウが含まれますが、ベースとなる白ワインにどれだけの桶の貴腐葡萄が加えられたかで、区分けされます。

プットニュの数が増えるほど糖度・熟度の高いアスーとなり、6プットニュのアスーには通常150-200g/1Lの果糖が含まれています。ワイン法により最低熟成年度が決まっていますが、熟成年数が長い程色は濃く、ドライフルーツや南国フルーツのような香りがするようです。

また、貴腐葡萄だけで作られたエッセンツィアと呼ばれるワインは、500-900g/1Lの糖分を含む非常に濃厚なデザートワインとなります。

この地域のメイン品種:フルミント、ハーシュレベルー、シャールガムシュコターイ(Muscat Lunel)
この地域の有名なワインセラー:Szepsy István, Rozal Tokaj Wine Co., Királyudvar, Disznókő, Oremus

なお、トカイを訪問した際、SzepsyとKirályudvarのセラーを訪問しました。管理人ブログの下記記事をご参照ください。
トカイ セプシ訪問記事
トカイ キラーイウドゥヴァル訪問記事


<エゲル>
ハンガリー国内の有名ワイン産地の一つです。ブック山の南斜面に位置し、約5,000ヘクタールでぶどうが栽培されています。大陸性気候で、北部に位置するため他のワイン産地より冷涼で乾燥しています。土壌は石灰岩、流紋岩、褐色森林土で、赤ワインだけでなく優れた白ワインも生産されています。

栽培されている主な白ブドウ品種:シャルドネ、レアーニカ、リースリング、オットネル・ムシュコターイ
栽培されている主な黒ブドウ品種:ケークフランコシュ、カベルネ・フラン、メルロー、ピノ・ノア

有名なエグリ・ビカヴェールは、ケークフランコシュをベースにその他の品種とブレンドして造られます。ブレンドに使用されるのは、一般的に、カベルネ・フラン、メルロー、カベルネ・ソーヴィニョンで、たまにカダルカやピノ・ノアが使用されます。エグリ・ビカヴェールは、少なくとも3種の黒ブドウがブレンドされ、少なくも6ケ月オーク製の樽で熟成される必要がある旨ワイン法で定められています。

エゲルの有名なワインセラー:St Andrea, Gróf Buttler, Gál Tibor等

エゲル 美女の谷訪問記事


<ヴィッラーニュ>

ヴィッラーニュはハンガリーのワイン産地の中で最も南に位置します。その温暖な気候と石灰岩の土壌は赤ワインの製造に適しており、この地域では伝統的に赤ワインが有名です。カベルネ・ソーヴィニョン、カベルネ・フラン、メルロー、ケークフランコシュ、ピノノワール、ツバイゲルト等多種の黒ブドウが栽培されています。白ブドウでは、シャルドネ、リースリング、ハーシュレベルーが主に栽培されています。

この地域の赤ワインの味わいは、フルボディの力強い、一方でバランスのとれたエレガントなワインです。国内の赤ワインで最高レベルのワインはこの地域で生み出されています。

この地域の有名なワインセラー:Gere Attila, Vylyan, Bock


<セクサールド>
フルボディーのスパイシーな香りの優れた赤ワインを生み出す、ハンガリーでも古くからあるワインの生産地です。この地域で最も重要な品種は『カダルカ』で、今でこそ生産量は少ないものの『セクサールド・ビカヴェール(雄牛の血)』を作るベースとなっている品種です。ハンガリー国内のワイン産地で「ビカヴェール」のラベルを許されている地域は、セクサールドとエゲルだけです。

その他この地域で栽培される黒ブドウ:カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、カベルネ・フラン、ケークフランコシュ、ポルトガイス

セクサールドの赤ワインは、ヴィッラーニュに匹敵する優れたワインですが、カダルカの影響でそれよりスパイシーになります。また、この地域のロゼワインも人気があります。

この地域の有名なワインセラー:Takler


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<黒ブドウの種類>

    カベルネ・ソーヴィニョン
    世界的に栽培されている品種ですが、ハンガリーでも栽培されています。タンニンを多く含み一般的にこくのあるワインに仕上がります。ヴィッラーニュやセクサールドのような比較的温暖な地域のCSは秀逸で、ハンガリーのトップクラスの赤ワインの中にはこの品種をベースに造られているものもあります。
    メルロー
    こちらも世界的に有名な品種ですが、カベルネ・ソーヴィニョンよりタンニンの含有量が少なく、成熟が早いのが特徴で、カベルネ種を補う品種と言えます。近年ハンガリーでは、この品種をベースにブレンドした高品質なワインが生産され、ヨーロッパ内で高評価を得ています。

    カベルネ・フラン

    カベルネ・ソーヴィニョンと同じルーツであるものの、それよりも冷涼な地域でも栽培が可能で、少し早めに成熟します。ハンガリーでも人気のある品種で、通常フルボディーのワインになります。ヴィッラーニュで最も優れたワインとなっている品種です。

    ピノ・ノア

    気候や土地の影響を受けやすくとても繊細な手のかかる品種です。一般的に軽めかミディアムボディで、タンニンがそれほど多くないワインとなります。ハンガリーでも多くこのブドウからワインが作られていますが、購入時に少し慎重に選別した方がよさそうです。

    ケークフランコシュ

    このブドウはハンガリーで広く栽培されています。濃い目に色づいたスパイス風味の生き生きとしたワインが作られます。ビカヴェール(雄牛の血という名のワイン)のメイン品種であるとともに、ショプロンの赤ワインで一番有名なのもこのブドウです。その他ヴィッラーニュやセクサールドなどでもこの品種から作られた優れた赤ワインがあります。
    カダルカ
    この品種は以前ハンガリーで最も広く栽培された品種のひとつでしたが、現在では栽培する地域は少ないです。以前はビカヴェール(雄牛の血という名のワイン)の重要なベースとなっていた品種ですが、繊細で育てにくいため他の品種にとって代わられたようです。この品種から作られたワインはミディアムボディの酸のほどよいスパイシーな味わいです。セクサールド等で栽培されています。
    ポルトガイス
    以前ハンガリー内ではケークポルトーと呼ばれた品種で、国内で広く栽培されています。軽めかミディアムボディの、フルーティーで生き生きとしたワインとなります。ヴィッラーニュで造られたこの品種のワインは、特に上質で秀逸です。

<白ブドウの種類>

    フルミント
    おそらく最も重要なハンガリー原産のブドウ品種です。主に火山灰土で生育し、緑がかった黄色で、りんごの香りがします。酸味のしっかりしたミネラル豊富な力強い香り豊かなワインになります。フルミントは熟成に向いた品種で、トカイアスーのベースともなります。

    シャルドネ

    シャルドネはハンガリーで広く栽培されています。地域と作り手によって変幻自在にできる品種のため、ハンガリー内でも温暖地域では果実味のあるしっかりしたワインに、冷涼地域では軽いフレッシュなワインになります。バラトン地域、モール等でこの品種を使った優れたワインが作られます。
    ハーシュレベルー
    フルミントともにトカイアスーのベースとなるハンガリー原産の品種で、トカイ地域のもう一つのメイン品種です。その他の地域でも栽培されていますが、トカイとショモローで特に優れたワインが作られています。香り高い、スパイシーなワインとなります。ハーシュレベルーとはハンガリー語で菩提樹という意味。

    シャールガムシュコターイ
    Muscal Lunelの名でも知られる品種で、トカイ地域のキュヴェやアスーに使用されます。香り高く、果実味の強い軽いワインとなります。
    キラーイレアーニカ
    現ルーマニア領トランシルバニア地方原産の品種で、ハーブのような香りのある果実味の高いさわやかな酸味のあるワインになります。若くフレッシュなワインであればアペリティフとして最高です。
    ケークニェルー
    繊細で収穫量も少ない、主にバダチョニィ・バラトン地域で栽培される品種です。熟成されたワインは、穏やかな酸味に芳醇な香りの味わい深いワインです。
    スルケバラート
    ピノ・グリと呼ばれる品種で、ハンガリー内でも広く栽培されています。このブドウを使用した辛口白のテーブルワインが多く出回っています。バラトン地域ではこのブドウを使用した上質な辛口ワインが作られています。このブドウで作られるワインは独特の香りがあり、フレッシュで味わい深いワインです。
    リースリング
    ライナイリズリングおよびオラスリズリングがありますが、これらは異なる品種です。ライナイリズリングはドイツ原産で、ラインリースリングとも呼ばれます。フローラルな香り高い酸味の強いワインになります。ハンガリーでは一般的に辛口ワインとなります。
    一方、オラスリズリングはRiesling Italico またはWelschrieslingとも呼ばれる品種です。酸が穏やかで、アーモンドのような風味があります。ヴィッラーニュ、バラトン、ショモローではこの品種から上質なワインが作られています。

    エゼルヨー

    この品種で作られたワインは比較的酸の強いしっかりしたワインになります。熟成すると酸と糖度のバランスがとれた素晴らしいワインになります。この品種は主にモールで栽培されています。
    イルシャイ・オリベール
    この品種で作られたワインはシンプルな味わいです。この品種はマスカット感が強い果実味のあるワインになり、特に若い作り手に人気があります。

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